家具用シリンダー錠付オールロックは最上部抽斗前板などに取り付けます。
正面付けのため鍵の操作が容易で、一ヶ所のキーを操作するだけで、縦方向の全ての抽斗をロックできるものです。
今回は、そのオールロックの仕込み方について説明します。
使うのはスガツネ工業のミリオンロック正面付用オールロックAFL1800型です。
そのカタログに記されている情報と経験を基に説明しますね。
作るのは全てが抽斗の下画像のような家具になります。
オールロック金物を取り付けた箱抽斗部使う金物一式です。L型に折れてる連動バーは長さが足りないので1000㎜タイプを用意しました。
オールロック金物一式箱の組み方加工は下画像の様になります。
箱の組み方オールロック金物の連動バーは右側につけるタイプなので、右の側板と中仕切り二枚を加工していきます。
側板と中仕切りの加工抽斗の口板は20㎜厚みなので、隙間用に使うクッションバンポン材の厚み2㎜を足して22㎜逃げた寸法で加工します。
(シリンダー錠のシリンダー奥行は30㎜なので、別売りのスペーサーを使って厚み調整します。)
オールロック金物加工詳細オールロック金物側面詳細ルーターマシンで溝加工をします。30㎜離れた位置に深さ7㎜の溝を入れます。
ルーターマシンルーターで溝加工側板と中仕切りの溝加工終了連動バーを固定する為のガイド金物の位置を出します。スライドレールとロックピンが干渉しない位置を選びます。この場合は上下40㎜離れた位置にしました。
連動バーを固定する為のガイド金物の位置トリマにテンプレートガイド(外径10㎜)を装着し、6㎜のストレートビットを付けました。
トリマにテンプレートガイド装着


テンプレートガイドの外径(10㎜)とストレートビットの外径(6㎜)
の差分を大きくした座繰り用の型を作ります。
ガイド金物は25×38㎜なので、29×42㎜開口の型です。
奥行を合わせる定規材も付けました。
座繰り用の型墨に合わせてクランプで固定します。
座繰り用の型をクランプで固定深さが7㎜になるようにトリマビットを調整し、座繰っていきます。
トリマーで座繰り角の丸みをノミで取り除いたらガイド用座繰りは完了です。
ガイド用座繰りは完了オールロック金物側板加工終了オールロック金物中仕切り加工終了次は天板裏の座繰りです。まずは正確な位置に墨出しします。
連動バーの位置出しここでもトリマを使うので、四方を2㎜づつ大きくした型板を作ります。
連動バー掘り込みの型クランプで固定したら、トリマで座繰っていきます。深さは13㎜。
連動バー掘り込みの型をクランプで固定トリマーで連動バーの掘り込み三か所掘ったら完了です、角はノミで取り除いておきましょう。
連動バーの掘り込み完了側板に連動バーを入れてみます。
連動バーを入れてみる上部はこんな感じです。
連動バー上部連動バーの長さをカットするので墨を出します。
連動バーの長さをカットするための墨出しディスクグラインダーでカットします。
ディスクグラインダーでカットディスクグラインダーでカット表側
切り終えたら、ロック用ピンを入れます。
連動バーにロック用ピンを入れるロックピンの中には固定するための小さなネジが入っているので、小さなマイナスドライバーを使って取り除いておきます。別売りでロックピンの長さを延長させる剣先ピンをねじ込みます。締めると位置が固定されます。
剣先ピンをねじ込む次にガイドプレートをはめ込みます。
ガイド用プレート台座を入れる連動バーを乗せます。
連動バーを入れるガイド金物を上からはめ込んだらビスで固定します。
ガイド金物を上からはめ込むガイド金物をビスで固定うまくスライドするか試してみましょう。
連動バーをスライドさせてみる連動バーの仕込みは終えたので、組み立てる前にスライドレールも付けておきます。
スライドレール用の墨つけスライドレールを取り付けるでは組み立てです。最初は地板から止めていきます。
地板と縦板の組み立て天板、背板の順に組んでいきます。
天板背板の組み立て連動バーの納まりはこんな感じです。
連動バーの納まり棚口を固定したら箱本体は完成です。
棚口を固定抽斗を作る時はロックピンが入る位置に欠き込みを入れておきます。
抽斗にロックピンの欠き込みロックがかかる仕組みはこんな感じです。
抽斗にロックがかかる仕組み抽斗を仕込む前にロックピンの位置を調整しておきます。
ロックピンの位置を調整全ての抽斗が入りました。上段の前板にはシリンダー錠が当たらないように欠き込み加工をしています。
オールロック家具、抽斗を入れたシリンダー錠のシリンダー長さは30㎜あるので、20㎜厚の口板に合うようにスペーサーを挟んで、固定します。
オールロックの鍵断面鍵にスペーサー納まりはこんな感じです。
鍵の納まりシリンダー錠のストロークは14㎜あるので連動バーを持ち上げてくれます。
シリンダー錠のストローク全ての口板を固定して完成です。
オールロック抽斗の完成今回はカタログに載っている寸法に基づいて加工をしましたが、私の経験では連動バーが入る溝は20㎜より少し大きめ(21~22㎜)
にしたほうが動きがスムーズになると思います。
抽斗に入るロックピンの欠き込みも少し大きめにしたほうが良いと思います。
何かの要因で引っ掛かり、連動バーが持ち上がったままになると抽斗が出てこなくなるので要注意です。(経験があります。笑)
ではまた。

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