室内ドアの作り方について、メッセージよりリクエストがありましたので、そこにお答えしたいと思います。
使うのは無垢材でガラス仕様、組み手は全てほぞ組みで作ります。外寸は、D=40㎜ W=700㎜ H=1950㎜になります。
長さをカットしたら、まずは縦框にほぞ穴の墨出しをします。
横框の幅は上が150㎜ 中が100㎜ 下が200㎜なので、上部の刈上げは30㎜ 下部の刈上げは40㎜としました。
角ノミ盤を使えば簡単にほぞ穴は掘れますが、手加工でやる場合は、まずほぞ厚をけ引きで出します。
ほぞ厚は15㎜にしました。
15㎜径の木工錐を用意して、深さを合わせるための幅40㎜の板も用意します。
ここでは、ほぞ穴の深さを75㎜にしたいので錐が75㎜出るように板厚を調整して、40㎜幅のセンターに穴を開けておきます。
框側に板材をクランプで固定し、それをガイドにして框のセンターに穴を開けます。そうすることでほぼ垂直に開けることができます。
最後はノミできれいに取り除きます。
ほぞ幅はきつくするので、針葉樹(松など)の場合は約1㎜ 広葉樹(ナラやタモなど)の場合は約0.5㎜小さく掘ります。
全ての穴を掘り終えました。
次に、刈上げ部分に溝を入れて差し込むようにします。
トリマに10㎜ビットをつけて、深さ10㎜でほぞ穴と同じ15㎜の幅になるように溝を入れます。
横框のほぞ加工は横切り盤や昇降盤などがあれば簡単に加工できます。
でもここは木工機械の無い人たちの為に、他の方法でやってみましょう。横框の長さは640㎜でカットしてありますね、ということはほぞの長さは70㎜になるので、電動丸鋸の定規を70㎜に合わせ、深さを12.5㎜に合わせます。これが胴付き部分になるので、横框全てに両面、切り込みを入れていきます。
定規を少しづつずらして、下画像のように沢山の切り込みを入れます。
切り込みを入れた部分を玄能などで叩き取り除いたら鉋や板に貼ったサンドペーパーで平らにならします。
ほぞ穴に軽く入るように厚みを調整します。
全てのほぞを終えました。
刈上げ部分は下画像のように加工します。加工機械が無い場合は、け引きや手鋸を使って寸法通りに加工します。
組みやすいように入り面を取っておきます。
ほぞ穴とほぞの両面に木工用接着剤をはけなどで全体に塗り、組み立てていきます。
対角線が同じかスケールで測ります。寸法が同じなら直角という事です。違っていたら同じになるまで修正します。
内面に回す、部材ですね、ここではサンメントを使います、これはネットでも手に入ります。
長さを合わせて45°(トメ)で切り合わせます。


ガラスは厚みが3㎜で面材は15㎜なので断面詳細は下画像のようになります。

面材(サンメント)を打ち付けるためのガイド部材を用意します。
ガラスの厚みプラス、面材の厚み(15㎜)框とのチリ(3.5㎜)を足した21.5㎜の部材を用意して框に仮止めします。




面材が框に接する部分に木工用接着剤をつけて、はめ込みます。


ガイド部材に合わせて仮釘で固定します。



同じ要領で全ての面材も止めていきます。


接着剤が固まったらペンチで仮釘を抜き、ガイド用部材も外したら、表面の面材の打ち付けは完了です。
裏面にガラスをはめ込みます。
長さを切り合わせた面材もはめ込みます。
ガラスが割れた時の為のメンテナンスが必要なので、裏面の面材は取り外せなければなりません。なので、極細ビスで面材を止めます。
硬い材料の場合はバカ穴を開けて確実に固定します。


全ての面材を止めたら、全体に仕上げて完成です。


ちなみに丁番は簡単に取り外しが可能な旗丁番が良いです。
今回はとてもシンプルな建具の製作例として紹介しましたが、作り方やデザインは数えきれない程のパターンが存在します。
加工方法も然りです。その道のプロの方は難なくいとも簡単に作ってしまうでしょう。
そういった特殊の技能の持ち主は今後、貴重な存在となるのは間違いありません。
新型コロナウイルスの影響で、今後先行きの見えない不況が訪れるかもしれません、どうなるか不安ですね。これからは今まで以上に知恵を絞って考える技術者、多能工が必要になってくるような気がします。
何かの本で読んだ文章がよみがえりました。
【人は簡単に手に入るものには価値を見出さない。苦労して手に入れるものだからこそ価値があるのだ】
金やダイヤモンドがそこら中道端に落ちていたならだれも見向きもしませんよね、苦労して手にいれるからこそ価値が有るんですよね。
考えさせられる言葉でした。
脱線しましたが、以上が私からの提案です、参考にして頂けたら幸いです。
ではまた。