無垢板同士を直角に接合する時に強度が要求される場合に用いられる組手のひとつ【蟻組接ぎ】という組手があります。
記事【留形隠し蟻組み接ぎ】では全て手加工で説明しましたが、今回も同様に手加工でのやり方について説明します。
使う木材は厚さ30㎜ 幅300㎜ 長さ500㎜のラワンの無垢板を使います。
まず最初に組手の内側となる面に厚みより1㎜大きい31㎜で毛引きを引きます。
次に蟻の基準となる線を毛引きで引いていきます。寸法は下図の通りです。
2枚の板が抱き合わせになるように合わせた状態で毛引きを引きます。
全て出し終えました。
蟻が差さり込む側の墨出しは下図のようになります。
自由スコヤを76°に合わせて白引きで線を引いていきます。
角度の合わせ方については、記事【留形隠し蟻組み接ぎ】を参考にしてください。
接点がずれないように正確に出します。
木口にもスコヤを使って下図のように直角に引いていきます。
板を裏返して表面の墨も出します。
この場合注意しなければならないのは毛引きや白引きで余計なところまで引いてしまうと表面なので傷となって残って見えてしまうという事です。
なので下図のように必要な部分だけ墨出ししたいと思います。
自由スコヤに31㎜の部分に印を付け、そこを目安に白引きで引いていきます。
毛引きを使って31㎜の線も必要な部分だけ出します。
蟻が差さり込む側の墨出しはこれで終わりです。
次に蟻を差す側の墨を出していきます。
下画像のように木口側に自由スコヤで出していきます。この時ほんの少しだけ蟻部を大きくしたいので、
ほとんど勘みたいになりますが、若干外側にずらして引いていきます。
板を裏返して表となる面に墨出ししますが、ここも見えてくる面なので不要なところには墨を出さないように注意します。
全ての墨出しが終わりました。
次に縦引き鋸で切り込みを入れていきます。
切り方の手順については、記事【ほその手加工その3】を参考にしてください。
墨通りに切るのは難しいので少し残して切り込みを入れます。
胴付き(31㎜の線)から少し離してノミを直角に叩き入れます。
下画像のように斜めに叩き入れて穴を掘っていきます。
手順を繰り返し、裏表両面から掘り込んで貫通させます。
残しておいた部分を墨通りに取り除きます。
同じ要領で不要な部分を取り除きます。
胴付き鋸で切り込みを入れます。
これで加工は全て終わりです。
差り込む側の内面の角を玄能で軽く叩いて少しだけつぶしてやると、組みやすくなります。
仮組みして問題なければ接着剤をつけて組み立てます。
胴付き(31㎜の線)を厚みより1㎜大きくしたので組み上がると木口面が出っ張っています。
鉋で削り落とします。
木口を削る場合は裏金は外したほうが綺麗に仕上がります。
以上で完成です。
ではまた。
いつも勉強させていただいております。
蟻組継ぎの加工の仕方はなんとか出来るようになったのですが寸法の出し方がまったく
分からないので教えてください。
今回厚み30mm、幅300mmの板に対して蟻の寸法が一番端から16→28→12となっておりますが
なぜ16なのか、なぜ28なのか、なぜ12なのかを分かりやすく教えてください。
※学校で厚み24mm、幅50mmの蟻加工模型を見たのですが寸法が端から11→8→12→8→11と書いてあり
足すと50になります。出来上がったものを真似て作る事は出来ますが「60mmで蟻の寸法を出しなさい」と
言われると寸法の出し方が分かりません。
宜しくお願い致します。
いつも当ブログに来ていただきありがとうございます。
蟻組接ぎの寸法の出し方ですね。
実は私も詳しいルールは知りませんが、記事で出したやり方について、近日中に載せたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。