アーチ状の成形板などの小口に木単板(0.6㎜)を貼る場合、長さを何等分かに分けて貼る方法が一般的です。しかし、この方法ではつなぎ目の線が何か所かに出てしまい、木目も流れてしまいます。
木目をアール形状に沿わせ、つなぎ目を出さないようにする、というリクエストをされた場合、職人として「できません」と言うのは難しいですよね。少し手間がかかりますが、うまくやる方法があります。まず、アーチの外周より長い単板を用意します。表面に下画像のようにV字の墨を出しておきます。
裏面に速乾ボンドを吹き付けます。(ハケ塗り用でも可)
単板を引き割る道具を作ります。10㎜×70~50㎜×180㎜の板を二枚用意します。





真っすぐな板を用意し、それを定規に沿って少しだけ縁の部分を落とします。












次にベニヤ板を4㎜厚に換え、裏面も同じように平らになるまで削ります。



速乾が乾いたら、V字の墨順でアーチ枠に沿って、単板を貼っていきます。まず内側から貼ります。

内周と外周は長さが違うのでV字の墨を少しずらして貼るのがコツです。


速乾ボンドは熱が加わると柔らかくなり、着きが良くなります。



アールの大きい曲面では、もっと幅は広く取っても大丈夫だと思います。
やる機会はあまりないかもしれませんが、こういうやり方もあることを覚えておいてください。
ではまた。
次の記事 【変形什器の製作例】
前の記事 【濃い色のポリ板で家具や什器を作る場合】