今回は、簡単な引き違い戸家具の作り方について説明します。収納家具には欠かせない基本的な製作手法ですので、覚えておきましょう。

図面は下図になります。寸法は、幅が2000㎜、奥行きが450㎜、高さが600㎜のシンプルな四角い箱です。
引き違い戸図面最近の収納家具は、内部が白のポリ合板貼り仕様が多くなってます。引き違い戸の場合、外面に貼る仕様材が異なるため、貼り分ける必要があります。

下の画像では、天板、地板、側板、中仕切り全て内部が白ポリで、外部がナラの練り付けベニヤ(60㎜幅)、共に2.5㎜のベニヤで貼り分けてあります。
天地側板中仕切りは、戸溝の分、大入れ組みにしなければならないため、下画像のような加工を施します。


天板、地板に中仕切りを組み込むための彫り込みをします。下画像はトリマを使用していますが、電子ルーターでも構いません。

サイズを合わせた部材をトリマと定規の間に挟んで、何度かに分けて掘り込みます。ビットで丸くなってる部分は、ノミで直角に取っておきます。中仕切りトリマ加工

天地加工天地断面詳細次に、天板と地板に戸溝加工をします。戸厚は20㎜なので、下図のように加工します。加工方法は、トリマ、電子ルーター、ルーターマシン、昇降盤(カッター加工)などがあります。
引き違い詳細溝を付けたら、戸の滑りを良くするために、下溝部にメラミン化粧板を貼り付けます。(画像はわかりやすく白にしてますが、色は木目に似たようなものが良いでしょう)
戸溝メラミン全てのパーツが揃いました。四隅の組手は、ビスケット加工しておくと強度が安心です。
引き違い戸パーツコーススレッドや細ビスで組み立てていきます。
引き違い戸組み立て外面と木端に仕上げ材を貼り、本体が完成します。
引き違い戸本体完成次は、引き違い戸の加工に入ります。
引き違い戸の製作引き違い戸は、上部の戸首を上部の戸溝に入れ、下部の戸溝に落とし込みます。
サイズをカットする場合、対角となるため若干短くする必要があります。箱の内寸より2㎜程度短くしておきます(下画像は、わかりやすいように戸を赤くしてあります)。

戸首幅は、戸溝に対して1㎜弱の9㎜にしておきます。
引き違い戸サイズ引き違い戸首サイズ戸の幅は、重なりを30㎜程度にしておきます。(下画像は、天板を消してあります)
引き違い戸かぶせ幅最後に、木目の引手を埋め込みます。
引手彫り込みには、トリマとテンプレットガイドを使用します。
テンプレートガイド
サイズを合わせた型合板をクランプで固定し、掘り込んでいきます。

木工用接着剤をつけてはめ込みます。
引手接着
以上で、引き違い戸家具の完成です。

実際に現場に納める場合、戸の立て付け(縦部分の隙間)を調整する必要があります。そのため、下の戸首は鉋で削れるように5㎜と長めにしてあります。状況に応じて調整しましょう。

家具作りでは基本的な事なので、覚えておいてください。
引き違い戸完成

ではまた。

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