今回は内部全てが引き出しになっている家具の製作例について説明します。
引き出しの納まりには様々なパターンがありますが、スライドレールを使ったシンプルな家具、ということで図面を書いてみました。
全面引き出しの箱図面
図面に基づいてフリーハンドでも良いので立体図を書いて細かく寸法記入しておくとイメージが頭に入り、製作がとても楽になります。

木取り表は仕上げ寸法で書いたので、木取りは幅と長さを10~20㎜くらい大きくカットしましょう。
木取り表
では製作に入ります。
外面は全て白ポリ化粧板仕上げ(2.5㎜)とします。
外側に貼るベニヤ厚を引いて計算しているためにW(ワイド)寸法が1195㎜になっていますね。製作段階では、下地寸法で作業を進めたほうが楽な場合が多ので覚えておきましょう。
まずは側板と天板から。板厚が25㎜ということなのでできるだけ近い寸法で製作します。18㎜合板に両面ポリ化粧板を貼り合わせると23㎜になるので下地は18㎜合板を使います。表に見えてくる部分と内部を貼り分けます、見えない部分はラワンベニヤでも大丈夫です。
全面引き出しの箱側板
全面引き出しの箱天板
中仕切りはスライドレールを両面から同じ位置にビス止めした時にビス同士がぶつからないように少し厚めの24㎜合板を使います。
棚口(引き出し上下にある横桟の呼び名)との組手は相欠き接ぎにしたいと思います。横切り盤で棚口幅の切り込み加工をします。
(横切り丸ノコ盤作業は大変危険を伴います。作業する場合は工場責任者の指示に従ってください。)
中仕切り加工3
中仕切り加工4
少し力を入れて入るくらいの固さが理想です。
棚口加工
側板との組手は片胴付きにします。
ここも少し力を入れて入るくらいが理想です。深さは10㎜程度で良いでしょう。
棚口組手
サイズをカットしたら、スライドレールの位置に墨出しをします。
下図のようにレールのセンター位置に切り込みを入れたベニヤを用意し墨を出します。
スライドレール墨出し
スコヤのような直角定規で全体に墨出しして墨の位置にスライドレールをビス止めます。スライドレール墨出し2


中仕切りも同じように。スライドrテール中仕切り

縦板が完成しました。
スライドレール縦板
天板、地板、棚口 巾木、背板もサイズカットします。
箱組み立て
木工用ボンドとコーススレッドで各所組み立てていきます。
箱組み立て2箱背板組み立て
棚口は下の隅からしのび(斜め止め)で固定します
箱組み立て4
中仕切りを止める時は正確に三等分になるように長さを合わせた板を定規にして組み立てていきます。
箱組み立て5
組み上がったら外面の白ポリ化粧板を貼り込んで木端(板の厚み面)にテープを貼って本体は完成です。
全面引き出しの箱本体完成
引き出しの製作については、記事【扉と引き出しの付いた簡単な箱】を参考にしてください。
引き出し仕込み
口板が完成したらトリマ用U字ビットで下部に手かけの加工をし、位置を合わせて引き出しと固定します。引き出し口板

隙間は2㎜程度が良いでしょう。
引き出し目地
スライドレールのビス止め穴は微調整できるように横長や縦長の部分があります。
口板の隙間が均一になっているかを確認し最後に微調整しましょう。全面引き出しの箱完成

 以上で完成です。目地の通りは縦横真っすぐになっていなければなりません。
微調整に妥協はしないようにしましょう。

ではまた。