黒系や濃い色のポリ板を使って家具や什器を製作した経験がある方ならご存じかと思いますが、傷が目立ちやすいですね。幅を割ったり、長さを切ったり、溝をつけたりする加工工程でついてしまうスリ傷は、どうしても避けて製作したいものです。
幅決めや長さカットは、パネルソーがある工場では毛引き設定できれいに切ることができます。しかし、組手加工など、ルーターマシンで溝をつける場合は、裏側にスリ傷がついてしまうことがあります。それを回避するための一つの方法として、インローがあります。
簡単な製作例でやってみましょう。上段が引き出しで、下段が可動棚、中仕切りが均等割りで三枚入ったシンプルな箱です。引き出し下の固定棚と、側板、中仕切りとの組手をインロー加工します。天地、側板、中仕切りを全てサイズカットしたら、固定棚の正確な長さを現物合わせで出したいと思います。まず、側板と中仕切りの長さを切った時に出た切れ端を地板の上に並べて、下画像のように端を平らに合わせてクランプで挟みます。
立て材の切れ端を地板に並べた


地板に並べた切れ端切れ端を密着させた状態で内寸を測ります。
切れ端を除いた寸法を測る内寸を四等分した寸法で切った、同じ長さの端材4枚を上に並べ、端が平らになるように長さを調整します。
当分した板材を並べる長さが決まったら固定棚四枚をその長さでカットし、インロー用の溝も加工しておきます。
カットした固定棚側板と中仕切りにはインロー用の桟木を打ち付けておきます。
組む前の側板の状態では組み立てていきましょう。まず最初は、両サイドの側板から始めます。
地板の両サイドに側板を立てた次に、固定棚を下画像のようにクランプで挟んだ状態で、中仕切りを組み立てます。
中仕切りの組み立て同じ要領で順に組み立てていきます。
全ての中仕切りを組み立てた天板も全く同じ工程で組みます。
天板の組み立て固定棚の溝に接着剤をつけて、インローの桟木に差し込んでいきます。
固定棚をインローで組み立て位置を合わせながら、クランプなどで挟んで固めたら、インローの組手は完了です。
全ての固定棚の組み立て完了
固定棚を左から見たところ

以上の工程だと、ほとんど無傷で組み上げることが出来ます。家具作りでは、様々なシーンでの応用も可能なので、ぜひ覚えておいてください。
ではまた。

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