複雑な形状の什器画像

箱物やカウンターなど、様々な家具を作る際には、施工図には記載されていない寸法や位置を事前に確定しておく必要があります。
例えば下図のような箱では、扉寸法が一定でなく、仕切り板の位置を計算するのは大変です。

家具の施工図
簡単に位置出しをする方法を試してみたいと思います。その前に、中仕切りや側板の厚さを決める必要があります。
使用するスライド丁番のカタログなどを見ると、下図のようなものが載っています。

スライド丁番半かぶせの詳細図 スライド丁番全かぶせの詳細図

カタログを基に厚みを決めます。中仕切りみは半かぶせを使用します。

18㎜合板の両面に2.5㎜の化粧板を貼ると、中仕切り板の厚みが23㎜になります。半かぶせ丁番を使うと扉のかぶせ量が9㎜なので、目地が5㎜になります。(左図)

側板には全かぶせを使用します。24㎜合板の両面に2.5㎜の化粧板を貼ると、厚みが29㎜になります。扉のかぶせ量が19㎜なので、残りが10㎜になります。(右図)
目地の詳細を記した平面詳細図
厚みが決まったので、墨出しの作業に入ります。
箱の長さより少し長めの棒材を用意し、扉の位置を墨出しします。
電卓で加算しながら行うと正確に出せます。
合板にスケールを使って印をしている写真 合板にスケールを使って印をしていところを拡大した写真

スコヤを使って線を書いている写真

スコヤを使って線を書いた部材の写真

全て書き終えたら、中仕切りの位置に墨を出します。
目地をを中心にして、厚みは23㎜です。
ランバーコア合板に印をしている写真ランバーコア合板にスコヤを使って印をしている写真ランバーコア合板に印をした写真
スコヤを使って線を書いた部材の写真
全ての中仕切りの位置を出したら、それを天板、地板に書き移して、位置出しは終了です。
スコヤとハタガネを使って板に印をつけている写真

簡単な例で説明しましたが、もっと複雑で厄介な物でも、このように墨を出せば簡単に位置を把握できるようになります。
例えば、下図のような側断面の陳列棚を作ろうとした場合、見ているだけで嫌になりますね。
什器の断面図変則的な什器の写真
このようなものも墨出しをすれば、製作がかなり楽になります。
ビスで組んだ後に化粧材を貼るといった場合も、盛り付け棒に目盛りをつけておくと部材を取るときに便利です。
この作業は業界用語で【盛り付け】と呼ばれます。

しかし、盛り付けという言葉だけで検索すると、料理の盛り付けに関する情報が多く表示されます(笑)。
盛り付け棒というキーワードで検索すると詳細な情報が見つかると思います。興味のある方はぜひ試してみてください。

それでは、また。

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